土地の境界を巡るトラブルを解消!?『筆界特定制度』を使おう

土地の境界を巡るトラブルを解消!?『筆界特定制度』を使おう

2022年3月3日

通常、土地というものには境界を示す『境界標』が設置してあります。
しかし、何らかの原因でこの境界標が無くなっているケースが存在します。

境界標が無くなってしまうと、家屋の建て替えや塀を加える際などに隣家との境界がわからず、
いわゆる境界トラブルに発展してしまうことがあります。

今回は、このようなトラブルを防ぐために生まれた『筆界特定制度』の概要や申請について説明していきます。

 

境界トラブルはなぜ起こる?

 

土地の所有権に基づく私法上の境界を“所有権界”、登記されている公法上の境界を“筆界”と呼びます。
この所有権界と筆界は本来一致していなくてはなりませんが、何らかの原因でここが不一致になってしまうことがあります。
境界トラブルの多くは、この所有権界と筆界が一致しなくなることで発生します。

 

土地というものは、本来は法務局で登記された筆界に基づいてその範囲を区分されており、
ここを勝手に変更することはできません。しかし、私法上の境界である所有権界は、
当事者間の合意があれば一部を譲渡するなど変更が可能なのです。

 

例として、隣家との境界に新たに垣根をつくる場合、隣人と相談の上で所有権界を変更するとします。
この時、本来は土地の境界を示す境界標を新たな場所に設置し、
さらに筆界も法務局で変更するのが正しいのですが、所有権界のみで筆界は変更せず、
さらに境界標も設置しないとなると実際の境界はわからなくなってしまうのです。
その時は良いかもしれませんが、後々の境界トラブルへ発展する可能性を孕んでいます。

 

裁判を避けてトラブル解決へ

 

万が一、境界トラブルが起きてしまったら、裁判で争う以外に『筆界特定制度』を利用する方法があります。
この制度は、土地の所有者の申請に基づいて法務局の筆界特定登記官が調査・資料収集を行ったうえで、
その土地の境界位置を特定する不動産登記法で定められた制度です。
この制度を利用して公的な境界を明確にすることによって、裁判をせずにトラブルを解決できることが期待されています。

 

筆界特定制度を利用する場合には、土地の登記上の所有者が管轄の法務局、
もしくは地方法務局に書類を提出することで申請をします。申請書類の書式は法務局のHPから入手が可能です。

申請に必要な手数料は土地の価格によって決定され、
法務省の例では2つの土地の価格合計が4,000万円の場合には申請手数料は8,000円としています。
この他に測量が必要なケースでは測量費用を負担する必要があります。

 

筆界特定制度の流れ

 

所有者の出した申請が法務局で受理されると、資料収集や意見聴取のために隣人などの関係者へ通知が行われます。
関係者への通知が終わると、外部専門家である筆界調査委員が調査を行います。
調査は周辺の土地の実地調査をはじめ、対象土地の測量や登記記録の確認、地図や地積測量図の調査など多岐に渡ります。
この調査結果をもとにした筆界調査委員の意見提出と、
関係者の意見聴取等を踏まえ、最終的に筆界特定登記官が筆界を特定します。

 

筆界特定制度は、新たな境界を決める制度ではなく、
もともと登記されている筆界を明らかにする制度です。
そのため、特定された境界は法的に確定したものではなく、
もし結果に納得ができない関係者がいる場合には裁判へと進み争うこととなります。
そして、裁判の結果によっては筆界は変更されます。

 

しかし、それでも筆界特定制度の利用によって境界トラブルの解決を図れるケースは多く、
境界を巡る訴訟である『筆界確定訴訟』の件数は、年々減少傾向にあります。
もしも境界トラブルが起こってしまった場合には、1度筆界特定制度の利用を検討してみましょう。

 

今回、最も大切なのは境界トラブルを起こさないことです。
具体的には、所有権界と筆界をしっかりと一致させ、
境界標を設置してその境目を普段から明確にしておくことです。
境界標は、車両や人が上に乗っても動かないように設置し、腐らない素材を選びましょう。
設置後も、目視で確認するなどの維持管理を継続して行っていくことが重要です。

 

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