医者はどんな時でも診察治療を行わなくてはならない!?拒否できるボーダーラインとは
2021年11月25日
医師や歯科医師たちは、法律で『応召義務』が定められています。
応召義務とは、正当な理由無しに患者から求められた診療行為を拒んではならないというもので、
違反すると患者から損害賠償を請求されることもあります。
ではこの応召義務に明記されている診療を拒否できる『正当な事由』とは何なのか。今回はその解釈について説明します。
応召義務の程度変化について
医師および歯科医師法19条1項では『診療に従事する(歯科)医師は、
診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない』と記載されています。
戦前には罰則が設けられるほどでしたが、医療の提供体制の変化や歯科医師の働き方改革などの観点から、
改めて解釈を整理する必要がでてきました。2019年には応召義務に関しての研究報告書が厚生労働省から出され、
現状を踏まえたうえでの『正当な事由』について、妥当なラインが示されました。
この報告書では、医療従事者が応召義務違反かどうかを判断するうえで最も重要なのは
【患者への緊急対応が必要か否かである】と述べています。
加えて、診療時間・勤務時間内であるかどうかや患者と医療機関・医師・歯科医師との信頼関係も
考慮すべき要素であるとしました。
正当な事由に当てはまるケース
大前提として診療時間内であれば、病状が申告な患者の診察治療には応じる必要があります。
しかし、歯科医師が留守にしていたなどで事実上診療が不可能な場合には、
応じられなくても仕方がないとされます。
ただし、医療設備が不十分や対応レベルが低い状態など自院では対応できない場合には、
可能な限りの処置を行ったうえで緊急対応可能な医療機関へ対応を依頼するところまで行うのが望ましいでしょう。
たとえば歯科医師の場合は、時間外に自宅や携帯に虫歯など歯痛を訴える患者から連絡があり、
対応せざるを得ないといったケースもでてくるでしょう。しかし、スタッフが揃わない・自身の体調や飲酒等で
治療ができない場合も有り得ます。こういった場合には診療可能な別のクリニックを勧めたり、
一時的に鎮痛剤で対処し後日来院してもらったりといったアフターフォローをしましょう。
個別事由でも認められるパターンが
厚生労働省では、上に挙げた基本の考え方に加えて、診療の内容とは関係のないクレームを繰り返すなどの
“患者の迷惑行為”や、支払い能力があるにも関わらず“医療費の不支払い”を行う人への診察治療拒否、
病状に応じて高度医療から地方の医療機関へなど適切な判断のもとで行われる
“他の医療機関の紹介・転院”は応召義務違反にはならないとしています。
過去の判例を例に挙げると、あるクリニックが歯科矯正治療を拒否したとして患者から損賠賠償請求をされました。
しかし裁判所は治療の際に患者の迷惑行為があり、歯科医師との信頼関係が損なわれていたとして、
治療を拒否したクリニック側の正当性を認めました。
現在の応召義務の考え方と注意点
応召義務を拒否する正当性というのは、厚生労働省の通達や過去の判例などからある程度の指標は示されています。
しかし、実際はまだまだ歯科医師と患者の関係性や、医師の専門性や診察能力、
当日の状況や緊急性などを加味しながら総合的に判断がなされます。
そういった『正当な事由』の下では診療を断ることが可能です。
ただ、診察の拒否を巡って患者側とトラブルになってしまうことも十分に考えられます。
自院の評判や見過ごしのリスクなどを考えると、なるべく応じておいた方がよいのかもしれません。
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