4月〜6月の働き過ぎに要注意!?1年間の社会保険料の決まり方
2023年4月6日
仕事をするうえで、残業はどうしても避けられないことも多いですが、
その分残業代がもらえるので嬉しいという人も中にはいるでしょう。
しかし、一生懸命残業したばっかりに手取り金額が減ってしまうことがあるのはご存知でしょうか?
この原因は社会保険料が増えるからなのですが、
社会保険料の基準となる【標準報酬月額】が残業によって増えてしまうからなのです。
そこで今回は、無駄のない働き方ができるよう、
標準報酬月額と社会保険料の決まる仕組みについて説明していきます。
社会保険額を決める標準報酬月額とは?
給与の手取り額に大きな影響を与えているのが、社会保険料です。
社会保険料とは、厚生年金保険料や健康保険料のことを指します。
給与明細を見てみると毎月の給与から引かれているでしょう。
支給される給与は変わらないのに社会保険料の負担額が大きくなれば、
実際にもらえる手取り額は減ってしまいます。
社会保険料は、誰もが同じ金額ではなく、給与に保険料率をかけて計算された金額で算出されます。
ここで社会保険料を算出する給与金額として使われるのが標準報酬月額です。
標準報酬月額は、毎年4月から6月までの給与の平均額によって算出され、
その年の9月から翌年の8月までの1年間使用されます。
つまり、1年のうち4月から6月の給与が高くなれば、7月以降の給与が下がったとしても、
標準報酬月額に則って1年間の社会保険料は算出されてしまうのです。
標準報酬月額や保険料はどのように計算する?
標準報酬月額は、4月から6月までの給与を合計して3で割った平均額の数値そのものではなく、
厚生年金・健康保険それぞれにある等級に当てはめて考えられます。
この等級ごとに定められている金額が適用されるのです。
たとえば、厚生年金の場合、等級は1から32等級にわかれています。
低い1等級は88,000円、最も高い32等級は650,000円が標準報酬月額と決められています。
現在32等級よりも上は存在しないため、仮に4月から6月の給与の平均額が1,000,000円だったとしても、
標準報酬月額は650,000円で計算されます。
また、健康保険については、厚生年金とは別に1から50等級まである表を用いて算出するため、
厚生年金と同じ等級にはなりません。
ではここで、実際に例を挙げて計算をしてみましょう。
4月から6月の給与の平均額が270,000円だったとします。
厚生年金の保険料額表によると、給与の平均額が270,000円の場合、
等級は270,000〜290,000円が範囲の18等級です。18等級の標準報酬月額は280,000円なので、
実際の平均額よりも高い金額が標準報酬月額となります。
厚生年金の保険料率は18.3%なので、280,000円に18.3%をかけると保険料額は51,240円となります。
ただし、半分は会社が負担するため、実際に給与からは25,620円が控除されます。
健康保険の場合には、保険料率は地域や健保組合によっても変動があります。
今回は協会けんぽに加入していると仮定し、会社の番頭さんの本社がある北海道を基準として計算します。
健康保険の場合は、給与の平均額が270,000円の場合、等級は270,000〜290,000円が範囲の21等級です。
21等級の標準報酬月額は280,000円なので、こちらも実際の平均額よりも高い金額が標準報酬月額となります。
健康保険の保険料率はここからさらに、介護保険第2号被保険者に該当するかどうかで保険料率が変化します。
40歳未満で該当しない場合は10.29%のため、280,000円に10.29%をかけて28,812円となり、
そこから会社と折半になるので給与からは14,406円が控除されます。
その年によって保険料率が変化していることも多いので、最新の情報に敏感になっておくことも重要です。
4月から6月の頑張りは損しかないのか
標準報酬月額は、基本給のみではなく、役職手当や通勤手当などの固定的な手当を含んで計算します。
また、残業手当や成果に応じた歩合給など、その月によって変動する手当も含まれます。
つまり、4月から6月の間に残業を多くしてしまうと標準報酬月額が高くなってしまうので、
手取り金額を増やすという観点では、この3ヶ月の残業は抑えたほうが良いと考えられます。
しかし、社会保険料を多く支払うことで、老後の年金や、自身が病気になった際の傷病手当金や、
障害および遺族厚生年金が増えるといったメリットも生まれます。
また、今回紹介した以外にも、昇級などで給与が変わった場合などで固定給が変動し、
3ヶ月の平均が定時改定で決定した時と比べて標準報酬月額の等級で2等級以上の差が発生した場合(随時改訂)などの
イレギュラーで計算し直される場合もあります。
長期的観点で自身のメリットを考えながら、無理しすぎないように働き方を考えてみましょう。
また、給与を支払う会社側も社会保険料については、折半負担のため、
4~6月については残業や昇給に注意しましょう。