【子連れ出勤制度】で介護業界の人材確保!導入のポイント
2022年10月6日
介護業界には多くの女性が働いています。
ですが、結婚や出産などのライフイベントを迎えても働きやすい職場環境が整っているとはいえないのが現状です。
そんな中で、政府が『子連れ出勤制度』を推奨する方針を打ち出しました。
今回は、子連れ出勤制度のメリットデメリット、導入時のポイントについてを介護業界の状況と合わせてご説明します。
介護業界の若年層女性離れ
医療や福祉業界で働く女性の比率は70%を超えており、全産業の中で最も女性が多い業界です。
厚生労働省による『介護労働実態調査』によると、2020年における介護労働者は、男性が20.9%、女性が72.3%と圧倒的に女性の比率が高いことがわかります。
次に、訪問介護員・サービス提供責任者・介護職員・生活相談員・PT、OT、ST等・介護支援専門員の7職種について性別や就業形態別の従業員をきいたところ、
20-30代の介護労働者では、男性の比率が高い結果になりました。
介護業界における管理者属性等別の集計結果によると、25歳以上30歳未満の管理者は、男性が8割以上を占め、
他の年齢階級に比べても高い傾向です。しかし、年齢が55歳以上60歳未満になると女性管理者の割合は64.1%と女性の比率が増えていました。
つまり、女性の多い業界であるにも関わらず、若年層女性の就業者が少ないということです。
こうした若年層女性の就業継続を阻む原因の1つとして考えられるのは、出産や育児です。
内閣府が発表した「『第1子出産前後の女性の継続就業率』及び出産・育児と女性の就業率」(内閣府男女共同参画局)によれば、
第1子出産後に就業を継続した女性は53.1%でした。このデータは逆を見れば46.9%の半数近い人は出産や育児によって就業の継続を断念しているということです。
子連れ出勤のメリット・デメリットの例
こうした子育てと仕事の両立が難しく、働きたくたても働けない女性に対する支援を目的として、
2019年に政府が子連れ出勤の推奨を表明しました。しかし、前例も少なく、労使双方からのデメリットを挙げた意見が多く、
2022年現在でも導入はあまりすすんでいません。
【デメリットの例】
・子供のことが気になって仕事に集中できない
・周囲の従業員に迷惑がかかる
・子供にとって職場は良い環境ではない
・事業所内保育所の整備にコストがかかる
そのような中でも、実際に子連れ出勤制度を取り入れ、成功している介護事業所もあり、
少しづつではありますが導入する企業も増えています。
この制度を導入する最大のメリットは出産・育児のために退職せざるを得なかった優秀な女性社員に、仕事を続けてもらえる点です。
さらに、産休・育休後すぐの復職が見込めるので、後任の採用コスト削減も期待できます。
離職防止と採用力強化のアピールにもなることでしょう。
【メリットの例】
・産休・育休による離職率を下げ、採用や研修コストが削減できる
・働きやすい環境の選択肢が増え、人員の確保につながる
・育休からの復帰が早くなり、ほかの従業員の負担が減る
・会社のイメージアップにつながる
・子供が職場にいることでなごやかになり、従業員同士が助け合える雰囲気になる
導入のために知っておきたいポイント
女性職員が働き続けやすい環境を整えることの重要性は、誰もが認めるところでしょう。
しかし、実際に導入するとなると、コストや安全面、
職場環境面などさまざまな理由で諦めなくてはならない介護事業所も多いといえます。
子連れ出勤制度はまず第一に受け入れ側のサポート体制が必要不可欠です。
制度導入にあたり、検討すべきポイントをまとめました。
・事業所内保育所整備やベビーシッターび雇用が可能か検討する
・子連れで出勤が可能となる就業時間上の配慮(時差出勤など)を検討する
・事前に周囲の従業員の理解を得る
・女性のみでなく、男女どちらもが利用できる制度にする
すでに事業所内保育所を設けている事業所は、制度も導入しやすい環境にあるといえますが、
そういったケースはまだ限られています。さまざまな配慮が必要にはなりますが、
有能な人材の離職防止や人材確保の対策として導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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