知っていますか?食中毒予防と発生後の対応
2022年7月28日
飲食店を営む上で、食中毒の対策は欠かせません。食中毒は原因は違えど年間を通して発生するものであり、
夏から初秋にかけては特に細菌性の食中毒が増えてきます。
そして、その対策は原因によって異なるので、正しい対策を実践することが重要です。
そこで今回は、夏のこの時期に心がけたい食中毒予防と、万が一、食中毒を起こしてしまった時の対応について説明します。
食中毒の原因と種類種類
食中毒とは、その原因となる細菌やウイルスが食品や容器などに付着し、
人の体内に入ることで腹痛や下痢、吐き気などの症状を引き起こす病気です。
この原因は大きく5つに分けられ、細菌・ウイルス・寄生虫・自然毒・化学物質が代表的です。
原因が何であれ、なんとなく食品が腐食しやすい夏場に食虫毒は起こると思われがちですが、
厚生労働省の『食中毒統計資料』によると、過去5年間で最も多く発生したのは10月であり、次いで3、9月なのです。
もちろん1年を通じて食中毒の対策は必要ですが、その原因や季節によって方法が異なります。
【季節別の発生しやすい種類】
・梅雨時期〜夏:細菌性食中毒
・冬〜初春 :ノロウイルスなどのウイルス性食中毒
・春と秋 :毒キノコなど自然毒によるもの
・冬 :牡蠣やふぐなどによるもの
細菌性食中毒の対策
高温多湿の状況下では、細菌が繁殖しやすい環境が生まれます。まずは、温度・水分・栄養分の3条件が揃った、
細菌が繁殖しやすい環境をつくらないことがポイントです。
この3条件が揃わないような対策を行えば、細菌性食中毒の予防となるのです。
具体的なポイントは以下の3つです。
①清潔
そもそも細菌をつけないようにします。こまめな手洗いや、使用器具の洗浄・消毒を使うたびに行います。
食材を保管する容器や食器などもしっかり消毒して、清潔な状態にします。
②加熱
細菌の多くは熱に弱く、食品の中心部が75℃以上の状態で1分以上加熱することでそのほとんどが死滅すると言われています。
ただしもちろん例外もあるため、熱に強い細菌やウイルスも存在することを頭に入れておきましょう。
③迅速な冷却
食材や料理は、素早く冷蔵庫などで保冷します。
一般的には、10℃以下の環境では細菌の増殖スピードが遅くなるといわれています。
完全に死滅させることはできないことを念頭に、食材や調理法によっても保存期間が異なるので、
随時状態を確認しながら保存しましょう。
食中毒が起きてしまった際の対応方法
どれだけ細かく対策をしていても、食中毒が発生することはあり得ます。
もし食中毒を出してしまった場合はどのように行動しなければならないのでしょうか。
通常、食中毒は飲食店で食事をした人が体調不良を起こして医療機関を受診することで判明することがほとんどです。
医師が食中毒やその疑いがあると診断した場合は、
24時間以内に最寄りの保健所に届け出ることが食品衛生法で定められています。
もし、お客さまから直接体調不良の連絡があった際には、
医療機関の受診を促すとともに、食べたものなどの聞き取りをして保健所に連絡を入れます。
保健所は、こうした報告があれば、ただちに患者本人に調査を行います。
そして同時に発生源と思われる施設や店舗で立入調査を行います。
この立入調査は初動スピードが重要なため、連絡なしに突然くることもあり得ます。
保健所からは、食中毒の疑われる客の利用日時やその他の客からの連絡の有無、
該当日の客数や料理の出品数といった基本的なことから、
料理の調理工程や従業員の健康状態なども確認されます。
さらに、衛生管理マニュアルなどの提出を求められたりと、調査に必要な情報を渡す必要があります。
その後、立ち入り調査の結果と患者への聞き取り調査の内容を踏まえて、
数日から1ヶ月以内に行政指導や行政処分が下されることとなります。
万が一が起きてしまうと、迅速な対応が求められます。
食中毒対策はしっかりと安全基準に沿って行い、すばやく報告ができるよう準備しておきましょう。
また、食品衛生についての知識は毎年アップデートされていますので、最新の情報を確認して従業員にも指導しましょう。