制服の管理はできていますか?トラブル防止のポイントとは
2022年5月26日
人を雇っているところでは、従業員がなんの断りもなしに出勤してこなくなってしまうケースが残念ながら多々あります。
こうした場合の問題点の1つとして、貸与品の返却が挙げられます。
特に飲食店では、制服の未返却やクリーニング代などが原因で、トラブルに発展することもあるようです。
今回は、制服をはじめとした貸与品について、どのようなルールを設ければ良いのかを考えていきます。
原則は制服代の徴収はダメ!では例外は?
多くの飲食店では、制服や作業服を従業員に貸与しています。
これにかかる費用は決して安いものではありません。
まず、“制服”に関する経理の知識、労働基準法における扱いについて説明します。
制服は業務中に着用するため、汚れや破損が生じることもあります。
そのため、経理上は【消耗品費】として扱われると思われがちですが、実は【福利厚生費】にあたります。
もちろん制服のクリーニングや補修にかかる費用も同じく福利厚生費として計上されるため、
従業員が費用を負担するということはまずあり得ません。
しかし、店によってはひと月あたり500円程度を給与から天引きしているケースもあるのですが、
どのような場合に徴収が認められているのでしょうか?
労働基準法第24条『賃金支払の原則』では、雇用者から労働者への賃金の支払い方法について定められており、
このなかには使用料などを給与から勝手に天引きしてはならないという決まりがあります。
しかし以下に該当する場合には天引きが認められているのです。
・所得税や社会保険料など、法令で定められているものの控除
・労働者の代表と労使協定を締結した場合
つまり、このいずれかに該当していれば、制服の使用料やクリーニング代として給与からの天引きが可能になるのです。
加えて、労働基準法第15条の『労働者に負担させる食費、作業用品などに関する事項』に沿って、
採用時に制服に関する条件を予め説明していた場合にも違反にはなりません。
しかし、従業員側が天引きについて把握できていなかったり、
貸与品の返却を怠ったりすることでトラブルが生じることはよくあります。
そのため、従業員には制服などの貸与品管理の重要性を認識してもらうこと大切です。
辞めた従業員が返却に応じない場合には
従業員と連絡もつかず、そのまま二度と出社してこないというトラブルはよくあるかと思います。
この場合、この従業員を退職扱いにするほかありません。
また、制服の返却をしてもらうことも厳しいので、
最終給与から制服代を天引きし、制服の回収を諦めてしまう経営者も少なくありません。
この場合その従業員は、貸与品の持ち逃げをしているのと同意になります。
つまり刑法253条の『業務上横領』に問われ、10年以下の懲役に処される可能性もあり得るのです。
悪質なケースでは、法的手段に訴えることはもちろん可能ですが、
裁判沙汰になってはこちらのダメージも大きくなってしまいます。
連絡がつくようであれば、まず返却依頼や督促状を出しましょう。
相手に返却の意思があるのであれば、期限や返却方法を決めておくと安心です。
また、返却を依頼した時点で、すでに貸与品を紛失しているようであれば弁償を請求できる場合もあります。
貸与した制服のうち、1着目は飲食店が購入負担だが、
2着目以降は従業員の意思で個人負担で購入しているといったケースでは、店側は1着目のみ返却を求めることができます。
(しかし、このケースでは、なぜ2着目以降を個人負担させる必要があったかと逆に指摘される可能性も十分にあり得ます。)
貸与品は自費購入ではないため、どうしても扱いは乱暴になりがちです。
そのため、制服や備品が壊れてしまったり、消耗が通常よりも早くなってしまったりすることも多々見受けられます。
返却トラブルだけでなく、在籍時から大切に扱ってもらうためにも、
雇用時には制服・備品の重要性についてしっかりと説明しておくことが大切です。
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