火災のリスクがいっぱい!飲食店で火事を起こさない工夫あれこれ
2021年8月12日
飲食店は潜在的な火災リスクが高い業種です。
東京消防庁によると、管内での火災発生件数は年々減少傾向にあるが、飲食店の火災件数は増加傾向にあるそうです。
(出典:『飲食店の厨房設備等に係る火災予防対策ガイドライン』(2017年))
今回は、飲食店で火災が起きる原因や、火災を出さないための具体的な対策について、
消防庁の資料をもとに解説していきます。
飲食店での火災は、目を離した隙に起こる
飲食店での火災原因としては「火を放置する・忘れる」ケースが30%で最も多く、
調理中にその場を離れた結果、火災に至るケースが目立つそうです。
また、排気ダクトにたまった油脂が火災を大きくしてしまったりと厨房設備が適切に維持管理されていないことが
被害を大きくする原因になることがあります。
東京消防庁のガイドラインでは、火災の発生原因となりやすい厨房設備や、
火災を予防する対策などについて説明しています。例えば、厨房付属設備に関する点検表を見てみると、
天蓋、グリス除去装置、排気ダクト(天蓋部から目視できる部分・できない部分)、
防火ダンパー、排気ファン・たわみ継手…と、
細かい部位ごとに清掃の必要な時期を判断する「点検の要点」を紹介しています。
天蓋の場合であれば、以下のような部分を目視で確認するとよいでしょう。
- 内面にワックス状の油塵(油の混じったほこり)などの付着がないか
- 変形、損傷、腐食などがないか
- 樋に油脂分などの溜まりがないか
- オイル抜きのプラグからの油漏れがないか
ほかにも
・ガス付近には可燃物を置かない
・火を使っている時は絶対に放置しない
など、火をうかつに扱わないようにすることが重要です。
アルバイト従業員によるワンオペ店舗の場合は特に、
従業員への防火教育や意識の向上、点検・清掃などの火災防止対策を、
日頃から徹底しておく必要があります。実際に現場で働くスタッフには
「飲食店は常に火災のリスクが高い」と認識させ、
危険を防止するという視点を持ってもらうようにしましょう。
実際にどのようなシーンで火災が起きているか
飲食店の火災は厨房設備からの出火が一番多く、
次に多いのがコンセントや差し込みプラグなどの電気設備です。
コンセントがしっかり差し込まれていなかったり、
接続部分が固定されていなかったりなど、少しの不注意が、大きな火災に発展することもあります。
そのほか
・七輪や炭火ロースターなど、客席に備え付けている調理機器
・提供直前に火を付けるタイプの固形燃料を使った料理
・喫煙所などでお客が残したタバコ
・アルコール消毒の設置場所(可燃性が高いので、火のそばに置かない)
等があります。飲食店の火災は、圧倒的に人為的不注意によるものが多いため、
まず「うっかり」をなくすことが一番の対策といえます。
万が一、火がついてしまった場合も排気ダクトなどの清掃を徹底していればすぐには延焼しません。
清掃・点検はなるべく小まめに行いましょう。
また、具体的な例として、どんな時に火災が起きているかを知ることも火災予防に役立ちます。
(1)フライパンで油を熱している隙に、離れた冷蔵庫から食材を取り出していた最中、フライパンが熱くなりすぎて出火
(2)鍋の廃棄油に凝固剤を入れ、火にかけている間に洗い物をしていたら、油が熱くなりすぎて出火
(3)コンロ付近に洗った布巾を広げて乾かしていたが、火のついたコンロに落下して引火
(4)コーヒーメーカーに繋いでいた延長コードの変換プラグ接続部分が、異常加熱を起こして出火
(5)長年掃除やメンテナンスを怠っていたガス給湯器のフィルターが、ホコリや油などで目詰まりを起こして出火
等が実際の火災発生の例として挙げられます。いずれも、適切な管理を怠らなければ防げた事例であるといえます。
小さなところにも火災の危険は潜んでいます。
火を扱う飲食店は危険と隣り合わせであることを意識して、日々の業務に取り組んでいくことが大切です。
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