飲食店の新需要を開拓する代替肉ってなあに??

飲食店の新需要を開拓する代替肉ってなあに??

2021年6月24日

フェイクミート、大豆ミート…こうしたワードが日本でも最近聞かれるようになってきました。
これらは、鶏、豚、牛といった動物肉の代わりに植物性素材で肉の味や触感を再現した「代替肉」のことです。
近年、菜食主義や環境保護の観点から「肉を食べない」という選択をする人が欧米をはじめ日本でも増加しており、
代替肉を扱うメーカーや飲食店も増えてきました。

今回はこうした流れに対応し、新たな客層開拓のきっかけにもなりうる「代替肉」について解説します。

「代替肉」が求められる理由

近年「肉を食べない」という選択をする人が増えているのはなぜでしょうか?
その理由の1つとして挙げられるのが環境負荷の問題です。
私たちが食用とする鶏や牛、豚を育てるためには広い敷地が必要であり、
そのために熱帯雨林の伐採が広がったり、動物たちの排泄により大気・水質汚染が深刻化しているのです。

2013年に発表された国連食糧農業機関(FAO)の調査によると、
人為的に排出される温室効果ガスのうち、14.5%が畜産業からの排出であることがわかりました。
飼料の製造・加工の過程で出る二酸化炭素、牛や羊などの反芻(はんすう)動物が消化の過程で出す
メタンガスなどが、環境に大きな影響を与えているそうです。

加えて、世界的な人口増加と途上国の生活改善により肉の消費量は増え続けると予想されるため、
先進各国では今、肉や乳製品の消費量を減らすよう働きかけているのです。

そのアイデアの一つが「代替肉」です。

かつては「うーん…」と思うものもありましたが最近は技術の向上もあり、
本物と遜色ない満足感を得られる代替肉がでてきました。
欧米では代替肉を扱う企業のネームバリューが大きくなり、
こうした企業が大手ファミリーチェーンとコラボをして売上げを伸ばすという動きもでています。

しかし、欧米と日本では代替肉を取り巻く環境が多少異なっています。
例えば、アメリカでは、栽培されている大豆の90%が遺伝子組換えであり、
本物の肉と同じ味、食感、風味を出すため着色料として添加される「レグヘモグロビン」が安全とされています。

しかし、日本で安全性が確保され、流通させることが認められている遺伝子組み換え食品は、
2018年2月時点で8品目(じゃがいも、大豆、てんさい、とうもろこし、なたね、わた、アルファルファ、パパイヤ)です。

日本では遺伝子組み換え食品を避けたい人も多いため、
代替肉の導入を検討する際には、遺伝子組換え大豆を使用したものかどうか、
使用した原料にも注意し、素材の安全性について確認することが大切です。

海外のみならず日本にもある代替のアイデア

代替肉が注目されている背景には、近い将来やってくるといわれている「タンパク質危機」の問題があります。
タンパク質は、筋肉や血液、臓器など人の身体を構成する最も重要な栄養素です。
成長期の子供や若者のみならず、高齢者もタンパク質を十分に摂取することが必要とされていますが、
将来、世界人口の増加により肉だけでは必要なタンパク質を供給できないといわれているのです。

そこでアメリカでは、開発をリードするビヨンド・ミート社の設立を機に、
2009年頃から代替肉への関心が急速に高まりました。そうした動きと連動し、
代替肉を使ったメニューを取り入れているレストランも増え続けています。

ビヨンド・ミート社はエンドウ豆などの植物性タンパク質を主原料にした代替肉による
ハンバーガーのビーフパティーやソーセージ、フライドチキンなどが大ヒット。
徹底的に研究し、食感や風味、見た目を本物の肉そのものまで近づけたことが、健康志向の高い消費者の心をつかみました。

さらに、かつては偽物感の強かった代替肉を「牛肉や豚肉に劣らない『おいしいもの』」というイメージを確立したといいます。
また、同じく代替肉製造企業のインポッシブル・フーズは、大豆やジャガイモ、
小麦由来の代替肉を1,000店以上のレストランに供給し、人々の食に大いに貢献しています。

日本でも昔から、がんもどきや精進ウナギなど肉や魚の代用として使われていた料理があります。
日本の飲食店で代替肉をメニューとして扱う際には、こうした昔からの料理をヒントにするのもよいでしょう。
代替肉は、将来の地球環境に大きな影響を与えるといわれています。
環境問題や人々の健康のためにも、お店のメニューにどのように生かせるか考えてみてもよいかもしれません。

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