厚生労働省の通知を再確認!ヘルパーの移動時間は賃金対象になる?
2021年5月6日
高齢化社会を背景に介護サービスの利用者は年々増加していますが、
介護に携わる人の離職率は高いままです。
そこで、厚生労働省はまずホームヘルパーの賃金水準を上げるべく、
介護職の法定労働条件の再確認とその遵守の必要性を全国の自治体に通知しました。
今回は、ホームヘルパーの労働時間に関する問題点と厚生労働省による通知の内容について説明します。
地域包括ケアシステムの推進によりさらに高まる介護職の需要
総務省がまとめたデータによると、
日本は65歳以上の高齢者が3,600万人を超え、高齢化率は約28%となりました(2020年9月現在)。
2025年には高齢化率が30%に達すると予測されており、医療や介護リソースのひっ迫が懸念されています。
そこで厚生労働省は、そのようなひっ迫状況を緩和する対策として
「地域包括ケアシステム」の構築を推進しています。
具体的には、市町村や都道府県が、高齢者の住まい・医療・介護・予防・生活支援を
包括的に提供して終生的に面倒を見られるようにし、
地域で包括的にケアする体制を構築することです。また、在宅医療・在宅介護の推進があげられています。
その場合、在宅での介護を支えるのが、ホームヘルパー(訪問介護職)です。
しかし、ホームヘルパーは介護職のなかでも賃金水準が低く、
人手不足の多忙さもあって残念ながら離職してしまう人が多いのが現状です。
ホームヘルパーの賃金が安くなる理由
ホームヘルパーの賃金水準が低い要因の一つに、移動時間の取り扱い方があります。
ホームヘルパーは、要介護者の自宅を訪問するまでの移動時間が発生します。
1日に複数の家を訪問する場合は移動時間も増え、
キャンセルや時間変更が発生した場合は待機時間がでてしまうこともあります。
労働基準法上では、このような移動・待機時間も労働時間として取扱うことになっていますが、
介護現場の実態としてはそのように取扱っていない介護事業所も多数存在しているのが現状です。
そのような現状を改善するために、
厚生労働省は2021年1月に「訪問介護労働者の移動時間等の取扱いについて(周知徹底)」として
問題提起を全国の自治体へ向けて通知しました。
この通知では、移動時間と待機について、以下のように定めています。
【移動時間】
使用者が、業務に従事するために必要な移動を命じ、
当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には、労働時間に該当する。
【待機時間】
使用者が急な需要等に対応するため事業場等において待機を命じ、
当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には、労働時間に該当する。
そのほかにも、利用者からのキャンセルや時間変更などでヘルパーを休ませるケースは
「ほかの利用者宅での勤務の可能性などを十分に検討し、
最善の努力を尽くしたと認められない場合には、
休業手当の支払いが必要になる」と指摘しています。
厚生労働省はこれらの介護事業者が遵守すべき法令を整理し、徹底するよう呼びかけています。
これからさらに高まるであろう在宅介護の需要に応えるためには、
ホームヘルパーの存在は不可欠です。
ホームヘルパーの収入を確保するためにも、
事業所においては、移動時間・待機時間などを含めた労働時間に対する
曖昧な取り扱いを解消することが先決といえます。
この機会に従業員への賃金形態を見直し、従業員の定着率を高めていきましょう。
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