節税、人材活用、意思決定のスピードUP…子会社設立のメリットと注意点
2021年4月8日
会社の経営が軌道に乗り、複数の事業を展開する段階になると、
子会社を作ることが視野に入ってきます。
子会社を設立する方法としては
・新たな事業を立ち上げるため、別会社を設立する
・既に存在する会社の一部門を別会社として独立させる
・他社の株式を買い取って子会社化させる
…と、様々な方法があります。
今回は子会社を作ることのメリット、
子会社を新規設立する場合の登記手続について解説します。
親会社と子会社
親会社と子会社について、会社法では以下のように定義しています。
【親会社】
株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を
支配している法人として法務省令で定めるもの。
【子会社】
会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社が、
その経営を支配している法人として法務省令で定めるもの。
例えば、A社がB社の株式の過半数を保有している場合、
A社が親会社、B社がA社の子会社ということになります。
子会社を設立するメリット
1)節税
子会社を作り、それぞれの会社の規模・利益を小さくすると、節税につながります。
例えば、法人税の税率は通常23.2%ですが、
一定要件を満たす中小企業であれば、
課税所得のうち年800万円以下の部分について、
税率15%に減額されます(中小企業者等の法人税率の特例)。
また、資本金1,000万円未満の法人は、
会社設立後最大2年間、消費税が免除されます。
この節税効果は一度きりのものとはいえ、大きなメリットです。
ただし、親会社及び当該他の者と一定の特殊な関係にある法人のうち、
いずれかの者の基準期間相当期間の課税売上高が5億円を超える場合は、
この制度は適用されないため注意しましょう。
2)フレキシブルな人材配置ができる
役員や役職に就くことができる人数には限りがあるため、
優秀な人材がいても長期間ポストが空かず、
適切な待遇を用意できないことがあります。
そのような人材を子会社の役員に据えられれば、
能力を有効に生かすことができますし、
社員のモチベーションを保つことに繋がります。
3)経営の自由度が増す
親会社の事業を切り離して子会社を作れば、
その事業に特化した経営を自由に行うことができるようになります。
組織が小さくなることで意思決定のスピードが上がり、
社員一人ひとりの責任感が増すことも期待できるでしょう。
もちろんデメリットもあります。
・親会社と子会社との間で損益通算ができない
・会社を運営・維持するための費用が別途かかる
等は、踏まえておかなくてはなりません。
また、100%完全支配関係の場合は、
グループ法人税制(令和4年4月1日以降はグループ通算制度へ移行)の適用対象となります。
子会社を新規設立する場合の登記手続の流れと注意点
前述のとおり、子会社の設立には様々な方法が存在し、
それぞれで手続が異なります。
そこで、以下では、子会社を新しく設立する場合について解説します。
この場合の登記手続の流れは、以下のようになります。
1.会社の目的や役員などの基本的な内容について決定する
2.定款の作成・認証
3.資本金の払込
4.登記申請書類を準備し、登記申請を行う
5.税務署や都道府県税事務所、労働基準監督署などに設立届などを提出する
親会社が発起人となるとき
上記は概ね、個人事業主が法人成りする場合と同様ですが、
親会社が発起人となるときには注意すべきことがあります。
通常、会社を設立するときには事業目的を定めなければなりませんが、
法人が子会社の発起人になるときには、
親会社と子会社の事業目的に少なくとも一つは共通性があることが求められます。
子会社を運営することが会社の事業目的の範囲内にあることを明確にする趣旨です。
事業目的は定款に記載され、
株式会社の場合は、公証人によって定款認証の手続きをすることが必要となりますので、
この点を忘れないようにしておきましょう。
会社の番頭さんでは経理代行(記帳代行、給与計算、振込サービス)の提供のほか、
税理士・社会保険労務士と連携し、
定期的に経営に役立つメールマガジンを配信しております。
弊社のお客様ではない方については、月額500円(税別)で配信を承りますので、
お問合せフォームよりお問い合わせをお願い致します。
事務所は、札幌市中央区大通、仙台市青葉区花京院、東京都港区南青山にございます。
近くにお立ち寄りの際は、見学にいらっしゃってください。
twitterやInstagramでも社内の雰囲気を随時情報発信しております。
是非チェックしてみて下さい。
▪Twitter ➡ban1030808
▪Instagram ➡ban1030808